シラバスより抜粋

テーマ・サブタイトル

近代資本主義について古典を読み考える

講義の目的・内容、到達目標

この授業の目的は、カール・マルクスとマックス・ヴェーバーの近代資本主義に関する古典的文献を細かく読み込み、そこで提示されている知見を吸収するとともに、著者の思想を深く理解することにある。受講生各人が、難解な文献を精密に読んでいく知的体力を身につけ、資本主義の系譜とメカニズムを多面的に把握し、かつ急激に進行する現代のグローバリゼーションについてまでも学問的な分析と判断を下せるようになることが、到達目標である。 昨年の世界同時的な経済危機以来、時代は大転換期の様相を呈している。液状化していくこの時代を学問的に冷徹に見通したいと考える意欲ある学生を歓迎する。

指導方法

文献講読では受講生の積極性と自主性が重んじられる。全員が対象文献を読み、自分の頭で考え、調べ、報告し、それにもとづいてたがいに議論することが本授業の中心である。教員はあくまでサポート役にすぎず、参加者はみずから主体的に授業に取り組む必要がある。各自レジュメの作成と報告も複数回こなすことになるだろう。
対象文献は、たんに人類史上に残る偉大な知的遺産というだけでなく、いまなおアクチュアリティをもった不朽の名著である。内容は難解をきわめるが、文献講読の授業はひとりで読めない本をみなで読むために存在する。受講生同士が励ましあい教えあい、四苦八苦しながらでも読みぬく意志と努力があれば、それに見合った知的興奮を得られるはずである。真剣かつ楽しく協力的な雰囲気で授業を進めたい。
なお受講者相互の議論や連絡などのために、メーリングリストを組む予定である。授業開始までに各自パソコンで円滑なメール送受信のできる環境を整えておくこと。

成績評価の方法・基準

おもに以下の3つのポイントを踏まえて評価する。①予習状況(30%)、②出席・発言など授業への参加度(40%)、③レジュメ報告などの内容(30%)。
ただし、授業に取り組む意欲の欠如した受講生や自分勝手な受講生、たとえば対象文献を読んでこない人、遅刻や欠席の多い人、学問的な議論のできない人、自分の報告のできない人などに対しては、学期途中であっても相応の評価を下すことになる。なお自己都合による欠席や遅刻についてその事由は一切考慮しない。

テキスト

下記の2つを予定する。講読開始までに各自で購入しておくこと。

・カール・マルクス『資本論(1)』国民文庫(大月書店・岡崎次郎訳).
・マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』岩波文庫(岩波文庫・大塚久雄訳).

購入時に出版社名や翻訳者名などを要確認。どちらも複数のバージョンの翻訳が存在するが、授業では受講者全員が同一の翻訳を使用するため。