シラバスより抜粋

テーマ・サブタイトル

現代ドイツ社会学の文献を読む

授業内容

社会学のドイツ語文献を、原書で少しずつでも読みこなしていける根気と能力を養いつつ、現代社会学を代表する人物たちの発想や視点を学ぶことを目標とする。テキストは、リスク社会論で一躍脚光を浴びたウルリヒ・ベックと、自己再生産する社会システムという独自の構想で戦後のドイツ社会学を代表するニクラス・ルーマンのものを使用する。具体的には、アメリカ同時多発テロから2ヶ月後にベックがおこなった世界リスク社会論に関する講演記録、および、コミュニケーションできるのは(人間ではなく)コミュニケーションだけであるとするルーマン独特のコミュニケーション概念に関する要約的論文を、予定している。世の中のことを具体的・抽象的にあれこれ考えたことのある人なら、どちらもアクチュアリティを感じながら読める文献である。なお受講者には、ドイツ語の初級文法をひととおり学習した者を想定しているが、いま学習中の者、あるいはまったくの初学者であっても、興味とやる気があれば歓迎する。

授業計画

下記のふたつを、参加者全員で精読・日本語訳していくという形式をとる。どちらも比較的短く、読みやすい部類のものだと思う。適宜議論を交えながら、参加者のスピードにあわせて読み進めていきたい。テキストはコピーを配布する。なおベックのものについてはすでに翻訳書が存在するので、必要に応じて参照したい。

・Ulrich Beck, Das Schweigen der Wörter: Über Terror und Krieg, Frankfurt am Main: Suhrkamp 2002.
・Niklas Luhmann, “Was ist Kommunikation?”, in: Soziologische Aufklärung 6, Opladen: Westdeutscher Verlag 1995.

参考文献

ウルリッヒ・ベック『世界リスク社会論』(島村賢一訳 平凡社).